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ワインとおつまみセット 年末編 - アルザス料理とスパークリング

1本のワインをお題に、そのワインの味わいや香り、ワイナリーの背景などに合わせておつまみを作るという、シェフとソムリエの新しいコラボレーション企画「ワインとおつまみセット」。

10月にお届けした「秋の味覚とサンジョヴェーゼ」に続き、12月にお届けするのは年末の気分を盛り上げる、スパークリングワインのペアリングセット「年末編 - アルザス料理とスパークリング」。アルザスの郷土感や、ワインの果実味に通じるフルーツなどを盛り込んだ、豪華なおつまみの品々とのペアリングの妙をご自宅でお楽しみください。

―――今回のテーマは「アルザス料理とスパークリング」。どんな背景が?

今野(ソムリエ):
クリスマスや年末の時期は、ブルーノート東京でもシャンパーニュを扱うことが多いのですが、お家で飲むのには結構難しい印象があったので、あえてスパークリングワインをセレクトしました。シャンパーニュは味もシチュエーション的にも豪華すぎちゃうというか。金額もお手軽ではないですし、ちゃんとした場所でいいグラスがあって、整えられた雰囲気も込みで味わうのがシャンパンの醍醐味かなと。

長澤(シェフ):
お家で楽しむ場合も、いざグラスをどうしようとか、構えた感じになっちゃうから、気軽に楽しむものとはちょっと違うよね。

今野(ソムリエ):
世界中、色々なスパークリングがありますが、12月の寒さに合わせて、気温が低いところのクリアな感じの泡がいいなと思い、今回はフランスのアルザスに絞ってセレクトしました。アルザスでもスパークリングを作っている生産者はたくさんいますが、今回セレクトした「クレマンダルザス キュヴェ キラク」のワイナリーは、当主の奥様が日本人の方で、赤坂のレストランでスーシェフをやられていた方なんです。その奥様のご実家がお寿司屋さんで、お寿司にも合わせやすいワインを、ということでアルザスの品種を使った白ワインなど色々作っていて。そういったストーリーもあり、食事とのペアリングに最適だなと思いました。名前に入っている「キラク」(喜楽)には、気楽に飲んでほしい、みんなでわいわい楽しんでほしいという想いが込められています。

長澤(シェフ):
まさに年末や家飲みにぴったりのスパークリングだね。抜栓後、ちょっと温度が上がってもよさそうな感じ。白ワインを飲んでいる感覚で、温度管理も気を使わなくていいし、構えてない、良い意味で普段使い向きの味。

―――味わいや香りはどんな感じ?

今野(ソムリエ):
味わい的には葡萄の果実味が感じられます。シャンパンのようにキュッと引き締まった感じというより、ふくよかな果実の甘みがあります。泡の揮発もシャンパンほど強くなく、喉にあたる感じが柔らかくて食事も合わせやすいと思います。香りはりんごや洋梨などのフレッシュな香りが特徴的ですね。

長澤(シェフ):
アルザスといえば白い花、ライチ、桃など、華やかな香りのワインが多いけど、これはすごく爽やか。べったり重たい感じがなくて、軽やかですごく飲みやすいね。

―――このスパークリングに合うのはどんなおつまみ?

今野(ソムリエ):
このスパークリングに使われている葡萄品種は、アルザス固有品種のピノオーセロワやリースリングなどなので、和食というよりは、アルザス寄りな料理の方が合うなと思いました。

今回もどのおつまみともすごくあうので選びづらいですが(笑) アルザスのくくりで言うと、フォアグラの上にフリュイセック(ナッツ)、フルーツ、ジャムを重ねた「フォワグラのマーブル仕立て ゲヴェルツ風味」はとてもアルザスらしい一品。ゲヴェルツトラミネールという、アルザスでよく使われる白葡萄の品種でジュレにして固めています。「玉ねぎと栗のキッシュ」も、アルザスの地方料理、タルトフランベをイメージしてアレンジをしたキッシュで、こちらも今回のスパークリングによく合います。

長澤(シェフ):
一番難題だったのは、アルザスを代表するチーズ、マンステールを使った「マッシュルームのマンステールコロッケ」。おつまみとして冷たくても美味しく食べられるよう、揚げ方なども工夫しました。アルザスではローヌ川の淡水魚を使った郷土料理も多いので、「イカとホタテのムース エピス風味」は白身魚のムースをイメージして、アクセントでエピス(スパイス)を効かせてスパイシーに仕上げています。

他にもスモークした鱒とレンズ豆、キノコを合わせた「くぬぎ鱒のエフィロシェ レンズ豆ときのこのマリネ」や、後味にライチリキュールのディタがほのかに香る「ポワローのフォンダン ディタ風味」など、スパークリングの香りにあわせた野菜のおつまみも入れました。

今野(ソムリエ):
香り合わせだと、「洋梨のジャム グラッパ風味」もとっても美味しい… ブリオッシュはフォアグラにもよくあいますね。デザートの「ベラベッカ」は、アルザスでクリスマスの時期に食べられるお菓子ですが、スパイスがガツンと効いており、最後にパンチがあってとてもよい締めくくりになります。

―――最後に、メッセージと次回のセットのイメージを教えてください!

今野(ソムリエ):
師走は色々とイベントごとも多く忙しい時期ですが、自分へのご褒美として、ぜひ美味しいスパークリングとおつまみで、一年を労っていただけたら嬉しいです。

長澤(シェフ):
今回は冬のペアリングセットだったので、次回はすこし暖かくなってくる春頃にお届けできたらいいなと思います。お花見のシーズンなので、お花見セットみたいなものだと楽しそう。来年こそはお花見が楽しめるようになってるといいなあ。

PROFILE
長澤宜久|Takahisa Nagasawa
ブルーノート・ジャパングループ エグゼクティブシェフ
1965 年、岡山県生まれ。91年より渡仏。三ツ星から星なしにいたる様々な名店での修行を経て、帰国後(2001年)シェフ・三谷青吾氏のもと東京・南青山のフレンチレストラン「アディング・ブルー」の立ち上げに参画(同店シェフに就任)。その後、丸の内「レゾナンス」等のシェフを経て、13年より現職。「ブルーノート東京」では様々な国内外アーティストとジャンルを越えたコラボレーションを叶えながら、個性豊かなディナープロジェクトを展開中。ソムリエ、チーズプロフェッショナル、唎酒師などの資格も持つ。

今野明日香|Asuka Konno
ブルーノート東京ソムリエ。2015年ブルーノート入社。ワインの仕入れ、リスト作成、公演内容に合わせたワイン企画等を手がける。料理の細かなニュアンスをつかみ、互いを響かせ合うようなワイン選びが好評。

  • 【12月11日(土)お届け商品】ワインとおつまみセット 年末編 - アルザス料理とスパークリング